「夢ならましかば覚めましものを」あとがき 「夢ならましかば覚めましものを」は、私が初めて書き上げた短編じゃない小説、です。(長編というのはおこがましい。中編ぐらいでしょうか) 書き終えてみての感想は、「しんどかった」の一言に尽きます。 頭の中でストーリーは出来上がっていたのに、いざ書くとなると、言葉が見つからない、まとまらない。結局半年近くかかってしまいました。 書いてる間に設定が色々変わったりして、プロットの重要さを思い知りました。今度からはちゃんと最初っから立てます。 空を吸う 嘘を吐くさんで、『前世からの付き合い10題』を見たときに最初に想像したストーリーとは随分離れてしまいました。はじめはもっとラブ分が多かったんですよ……。記憶の所持非所持と性別変化のために起こるラブコメ的なモノをやりたかったような気がします。残念ながら達成できなかったのでラブコメはまたの機会に……。 私は記憶力がよわいです。だから、昔の思い出話をしていても、『ああそんなこともあったような無かったような』という発言を繰り返し続けます。迷惑だな。 いいことも悪いこともおしなべて適当に雰囲気だけ覚えている、そんな感じ。 ただ、それでも唐突に何かを思い出すことがあります。いい思い出よりは嫌な思い出ばっかりが、そんなときは飛び出てきます。 もう乗り越えたと思い込んでいた過去の出来事が、口に出した瞬間よみがえり、泣きかけたこともありました。 嫌な記憶ばかり残って、楽しかったこと、嬉しかったことは端から消えていってしまう。そういう恐怖心、というか不安感がどこかにあって、それを道尋に重ねていたのかも。 タイトルの歌は、下の句だけ思いついていたので、上の句は古語辞典で枕詞掛詞調べて繋ぎ合わせて作りました。 夜の岸辺に浮いては消える泡沫のように、夜、眠りのうちに現れては消える夢ならば、朝には目覚めが来るのに。実際は現実だから抜け出せない。 ……と、こんな感じでしょうか。 読み返してみると至らない点ばかりで恥ずかしいのですが、改定はしないかな、と思います。あ、でも誤字脱字はご指摘ください。 ところで、この小説は完全なフィクションで史実にも何にも絡んでいません。一応鎌倉時代あたりを想定してました。 つたない作品ですが最後まで読んでくださって有難うございました。 直名 拝
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